「海神の子」  川越宗一  文藝春秋  2021年

鄭成功が、社会で巧く生きられない者達、行き場の無い者達の為に戦う物語。

文章及び台詞回しが現代的であり、登場人物や固有名詞は最小限しか使われていないので、非常に読み進めやすい。初めて鄭成功の物語に触れる人に最もオススメできる作品である

大まかな流れは史実に沿っているが、細かい部分はかなりドラマチックにアレンジされている。特に「鄭芝龍」のアレンジ及び描写にはかなりの文字数が割かれており、作者の拘りを感じる。

個人的なオススメポイントは顔思斉の描写。表の顔と裏の顔がうまく書き分けられていて、中年男の渋さ、格好良さが伝わってくる。

逆にイマイチだった所は、鄭成功の組織作りや戦の描写が、やや御都合主義になっている感がある。エンタメとしては良いのだが、個人的にはもう少しリアリティがほしかった。

オススメ度★★★★

※あくまでも管理者本人の感想です。