「フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語」 陳耀昌 著 大洞敦史 訳 東方書店 2022年
1646年~1662年の台湾を舞台にした物語である。この時代以前、台湾はいくつかの先住民が集落を作って生活をしていた地域であり、政府や国といった概念は存在していなかった。そこに貿易を目的としたオランダ人がやって来た事で、台湾の歴史は大きく動き出す。
副題にある様に、オランダ人(台湾に移住してきた牧師の娘)、シラヤ人(台湾先住民の長老の娘)、鄭成功及びその配下、の三者の視点で物語は進んでいく。この物語は鄭成功を主役にした英雄譚ではなく、当時の台湾の多民族社会を描いた群像劇であり、現代にも繋がる台湾のルーツを感じる事ができる作品になっている。
上記の如く鄭成功は登場人物の一人という位置付けであり、詳しい生い立ちは描かれていない。だが、今作における彼の描写(特に晩年)は鬼気迫る物があり、是非ともご覧いただきたい。悲劇のヒーロー好きにはぶっ刺さる事間違い無しであり、個人的には「最も格好いい鄭成功」といっても過言ではないのである。
オススメ度★★★★★
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