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「旋風に告げよ」  陳舜臣 著  講談社  1977年

「秘本三国志」や「小説十八史略」等、中国歴史小説を多数執筆しておられる氏による、鄭成功を主人公にした作品である。

個人的にお気に入りの場面は、清に降る決意をした芝龍と、そんな父から鄭家の実権を奪い取りたい成功のせめぎ合いの場面。海千山千の芝龍を出し抜く成功の強かさは、鳥肌レベルで格好いいのである。

そしてもう一つ。成功が南京攻略失敗後、明復興を諦めた事を第三者の口から語られる場面。とかく世間では「夢を、目指した物を、諦めない事」が美談であり、ヒーローの条件として据えられがちである。だが、夢を諦める事が如何なる事かを描いた作品はほぼ皆無であろう。長年の望みを絶たれ、惨めで格好悪くても、次の一歩を踏み出すヒーローがいたっていいじゃないか。そんな気持ちにさせてくれる。

どうしても気になった事が、序盤からの謎である顔思斉の死に関して、最後まで明言されなかった事である。何の為の伏線だったのだろうか?

オススメ度:★★★★

※管理者本人の感想です